
ケニアの首都ナイロビにおいて開催された第37回ICANN国際会議が、本日のICANN理事会終了と共に無事閉会しました。本日行われた理事会では 2007年に契約された「.xxx」の問題、そして新gTLDの事前申請プロセスである「EOI/Pre-Registration」に関する理事会の判断に注目が集まりました。
以下が理事会にて主に議論された内容と決定された事項となります。
| 新gTLD商標保護問題 | 承認 |
| EOI/事前申請プロセスについて | 却下 |
3文字問題 |
承認 |
レジストリ/レジストラ垂直統合 |
却下 |
変形文字問題 |
未決 |
ドットXXX問題: ICM Registry (.xxx) vs ICANN |
未決 |
新gTLD
1. 新gTLD商標保護問題
ICANNが新gTLD申請受付の開始までに答えを出さなければならない主要タスクは、「商標保護メカニズムの策定」「経済的需要の調査」「ルートゾーンの安定性および安全性の確保」となります。
ICANNは新gTLD商標保護に関わる問題について既に解決の最終段階に入っています。Post Delegation Dispute Resolution Mechanism(TLD運営開始後にレジストリに対して異議を申立てる方法)については、未解決問題が残されており、 現在ICANNによりパブリックコメントが募集されています。(4月1日まで)
今回の理事会では、6月に発表される予定のドラフト申請ガイドブック第4版までに本議題に関する全ての事項の解決を目指すことが話し合われました。
2. EOI/事前申請プロセスについて
EOI/事前申請プロセスの提案がICANN理事会において却下されました。理由としては、既に新gTLD募集開始の障害となっている問題がぼぼ解決されており、 新たなEOIの導入により申請開始時期が遅れる可能性があることです。今後ICANNは残された問題の早期解決を目指し、6月に行われるブリュッセル会議までに ドラフト申請ガイドブック第4版を公開するとの事です。
ドットXXX問題: ICM Registry (.xxx) vs ICANN
ICM Registry が申請していた.xxxトップレベルドメインについて、ICANN理事会は最終的な判断を6月に開催されるブリュッセル会議まで延期するとしました。
2000年よりICMとICANNの間で、卓球の試合のように繰り返されていた.xxx問題に結論が出されなかったことについては、ICANNコミュニティから twitterなどにより落胆の声があがっています。
ICMの.xxx申請問題は、ICANNの審査を通過した後で理事会に却下された経緯というがあります。理事会の決定を不服としたICMは2008年ICANNに対して独立審査を申請、 今回のICANN理事会にて最終的な判断が下される予定でした。
レジストリ/レジストラ垂直統合(VI)問題
Vertical Integration between Registries and Registrars
前回のICANNソウル会議までレジストリ/レジストラ垂直分離問題と呼ばれていた本議題については、昨年開催されたJPNIC及びIAJapan主催の第26回ICANN報告会にて行った弊社才門のプレゼンテーション資料をご参照ください。
本日の理事会で当分の間は垂直分離を維持することが望ましいという判断がなされ、これにより従来通りレジストリ/レジストラ間の相互所有については認められないことになりました。
国際化トップレベルドメイン(IDN)の3文字問題/変形文字について
Internationalized Domain Names “IDNs” Three Charactors / Variants
新gTLDプログラムでは日本語をはじめとする各国の文字列でのトップレベルドメインの申請が可能となります。
IDNの導入に当り、ICANNコミュニティより以下の2つの問題が提起されました。
3文字問題
弊社も加盟しているアジアレジストリ連合(Asia Registry Consortium = ARC)のJames Seng氏が中心となり、2009年のICANNメキシコシティ会議にてIDN3文字問題が提起されました。本来新gTLDプログラムのドラフト申請ガイドブックでは、申請可能な文字列が3文字以上とされていましたが、漢字などアルファベットよりも多く意味を含み、また画数の多い文字について、2文字以下の申請を認めるべきであるとの意見が、この3文字問題の起源となります。この事が認められない場合は、例えば「.北京」や「.東京」などの新gTLDが申請できない事となります。2010年にIDNについて3文字制限を解除する提案書が提出され、現在ICANNによりバブリックコメントが受付けられています。(2010年4月1日まで)
変形文字問題
変形文字とは、特に日本語と中国語の表記に関係する問題です。本来は同じ意味の漢字を表すが、違う表記方法の文字についてどの様に対処するべきか?という問題です。例えば、「.楽曲」というTLDを申請した場合、日本語では「.楽曲」、中国語の簡体字では「.乐曲」、繁体語「.樂曲」という表記方法になります。2010年2月に提案書が提出され、現在ICANNによりパブリックコメントが募集されています。(2010年4月1日まで)
提案書では、IDNgTLDの申請者はそれぞれの変形文字TLDについて、申請時に「将来利用する可能性がある文字」と「利用しない(ブロックする)文字」を定義しなければならないとしています。また、今後当問題に関しては別途「変形文字運用のメカニズム」が取り決められ、それに従い運用を行っていくことが提唱されています。1件の申請につき認可される変形文字の種類は1種類とされており、例えば日本語の「.楽曲」を申請した場合でも、北京語の「.乐曲」を利用する場合は別途費用が必要となるとされています。
本日の理事会で3文字問題については承認され、IDNで2文字以下の申請が可能となりました。今回の決定により、今後「.東京」や「.コム」などの日本語表記によるトップレベルドメイン名が誕生するかもしれません。 変形文字問題については、今後「変形文字運用のメカニズム」の策定作業が行われることが取り決められました。
ICANN会議のリモート参加について
ICANN国際会議に毎回参加している弊社スタッフとしては、今回が初のリモート参加となりました。事前に隣国ソマリアのイスラーム集団であるアル・シャバブにより会場に対するテロの予告があったことから、 弊社では今回のナイロビ会議の参加を断念した経緯があります。不参加の企業が多く世界各国からのアクセスが集中した状況下において、ICANNのリモート参加システムが安定的に利用できたことについては賞賛に値すると思います。 ICANNでは世界中からの参加を広く歓迎しており、そういった意味で従来と比べ多数のオンライン参加が認められた今回の会議の成果は大きかったといえるでしょう。
アーバンブレインでは今後も新gTLDプログラムについて世界最新の情報をお届けいたします。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
